森の図書室にて 本と店員さんノススメ
渋谷で話題になっている森の図書室に来てみた。
店員さんが棚の説明やシステムの説明などを丁寧におこなってくれる・・・
思っていたよりも小説とかが多いんだなあ。
Urge Overkillの
♪Girl, You'll Be A Woman Soonがかかっていた。好きな音楽がかかると嬉しい。
さーて、読書。
と思ったら、店員さんが声をかけて下さり、
自分が選んだのだという棚を紹介してくれた!
私はこういう店員さんとのやりとり、大好きなのでさっそく店員さん、りかさんのお薦めの棚から本を手に取ってみる。
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りかさんオススメ
『「いき」の構造 他二篇 』 岩波文庫 1979/9/17改版
日本独自の概念である「いき」とは何かについて書かれた本、
「いき」は関西(上方)で生まれてその概念は関東(江戸)で深まっていったのだと。
彼はそれを”論理的な解説”と”体験するという実感”の二つのフェーズで説明している。
(というのが私の解釈、だけど結構難しくて、間違っていたらご指摘ください)
印象的だった箇所(引用)
「意味体験を概念的自覚に導くところに知的存在者の全意義が懸っている」
「運命によって「諦め」を得た「媚態」が「意気地」の自由に生きるのが「いき」である」
作者の九鬼周造について、すこしだけ。
彼は日本の哲学者。岡倉天心を精神上の父とする。
(実の父は九鬼隆一)
1921~1929年の間、ヨーロッパへとわたり、あのハイデガーなどとも関わりがあったという。サルトルは彼の家庭教師であった、そしてこの本もパリで書かれたものである。
今回は時間的な制約があったので、はじめに、と結論を読んでみた。
《感想と考えたことを少し》
昔の「知的存在者」は芸術・言語学・空間学・比較文化学、様々な知識を得ていたのだという事を痛感させられた。彼が生きた1888年から1941年、今以上に激動の時代であったのだと思う。そのなかで、この知識量と思考、すごい…
段々と学問の分野が専門家・細分化されていく時代の中で彼はそれに反抗するように様々なことを学び言葉にした。
言葉やある概念について学ぶことは、本来様々な領域の学問知識が必要とされるはずだ。
でもそれは今細分化され、いろんな人が自分の専門分野のみ言及するような形で語られる。
皆が美味しい料理を作ろうとしているけど、魚屋さんは「今日は鯛が美味しいよ」といい、八百屋さんは「いまはオーガニックが流行っていて、無農薬のものを取り入れたほうがいい」といい、コックさんは「味と見た目のバランスが大事だ」といい、レストランの経営者は「原価と利益は・・・」とかいってる、そんな会議みたいに。
(例えが悪い気もする、お腹がすいているのがバレバレだ)
例えば、いま「平和とは何か」を学問として大きな視点で研究する人はどれくらいいるのだろうか。
今の日本の現状を見て、「自衛隊」などの観点からのみ平和を語る人はごまんといる。
でも、過去を振り返って「平和」な時代はあったのか、とか「平和」という言葉はいつ・誰が創ったのか、「平和」と「PEACE」は同義語か、とか「平和」を目指す人についてのフィールドワークとか、そういうの全部ひっくるめた「平和」研究者はなかなかいない。
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こんなことを考えながら本を読んでみた。
なかなかおもしろいなあと思う選書で、更に興味がわいた。
選書の本は坂口安吾や太宰治など、超有名―!読んでみたいー!でもなんとなく手が出なかったんだよね・・・という少し古めの書体のものが多め。
ちょっと前の文体がどうも苦手な私、
思い切って聞いてみた
「ちょっと古い文体とかがなかなか読めなくて、入門編としてよめるものはありますか?」
りかさん、とても気さくに答えてくださいました!!!…イイヒト。
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『魚たちの離宮』 長野まゆみ
りかさんポップ “幻想的な文章に心底酔わされてしまう物語です。”
村上春樹みたいな素敵な表現とかが好きです、という私に薦めてくださった。
最初の数ページの情景描写でも、なんて美しい言葉遣いなんだろう…となる。
『超発明』 真鍋博
“ちょっと違うんですけど、昔の人に抵抗がなくなる面白い本ですよ”
これは期待を裏切る(もちろん、良い意味で)オススメ。私の趣味にどんぴしゃ。
『斜陽』 太宰治
この本を薦めてくださる時、太宰の書き方の2面性を教えてくださった、
女性的な視点(言い回しも)による叙述と、自伝的な叙述の2通りがあるのだと。
“この斜陽は、女性的な書き方によって書かれていて、女性からすると何でこの気持ちがわかるの?!と思ってしまう、それがおもしろいですよ。そして太宰治は比較的読みやすいと思います”
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どの本も読みたい!!!となったので、自分で買って読んでみよう。
(太宰の斜陽は、Kindleで無料になっていた!私みたいに古めの文体苦手だけどトライしてみよう、という人には嬉しいサービスなのかも?)
人から本を薦められると、その人の考えていることを少し覗くことが出来る気もして、とてもワクワクしてしまう私。
店員さんにオススメを聞いたりするのが好きな人は特にオススメだなあ、と思った森の図書室。
友達と2人とかで行って、お互い読書とかもいいなあ。
素敵な図書室だった…りかさんもお忙しいところありがとうございました!!