フリーマガジンを克服した 『LetteR』を読んで
最近本屋が話題になると同時にZINEやリトルプレスと呼ばれる出版物が話題らしい。
これらのみを扱う本屋さんがあったり、フリーペーパーを扱う本屋さんがあったり…
最初に本音をいうと、私はこの類の個人出版(と仮に呼んでいいだろうか)の出版物が苦手だった。
(嫌い、ではない)
大手の出版社が出すような本よりも「個性」が強いし、
大衆向けでないから受け入れることが出来るか、そして自分を受け入れてもらえるかが不安だった。
というのが苦手な理由。
この『LetteR』を読んで、考えが変わったのでその体験を記してみる。
『LetteR』は、現在学生の東江さんがメインで発行しているフリーマガジンだ。
東江さんとは、下北沢のB&Bのオーナーであり『本の逆襲』の著者でもある内沼晋太郎さんが講師をされている「これからの本屋講座」という講座を通して知り合った。
また、この本の編集をされている福田さんとも、この講座で知り合った。
知りあった、といってもそんなに深い話をするわけでもなく、、、という感じだった。
そんなとき、
お二人が『LetteR』の創刊記念のイベントを告知されていたので、
「たまには本の“イベント”にいってみるのもいいかもなあ、せっかく講座受けてるしなあ~~~」
と思い、参加する事に!
とはいっても、このイベント、なんと ラ イ ブ 。
吉田グループ、そしてあだち麗三郎さんによる、
古書ほうろうという千駄木の古書店でのミニライブだった。
本屋さんでのライブって、なかなか体験出来ない気がする、、、
実際、ライブハウスともストリートとも違い、そこは不思議な空間だった。
音楽を演奏しているすぐ後ろの棚には、ダンテの『神曲』が置いてあったり
なんだかいろんなものが入り混じった空間だった。
そしてこのイベントで、本との関わり方って本当にいろいろあるんだなあと実感した。
本が好きです、とかいうと「 ま じ め だね 」と言われるけど
(そう言われるのは何だかしっくりこなくて、今まで本が好きですとはあまり言わなかったのだけど笑)
これは多分、まじめではない笑
というより、おおまじめに楽しんでいる、という感じか?
そんなゆるく、(私にとっては)とても斬新で、それはそれは楽しいライブを終え、
ライブで配布された『LetteR』vol.1を読んでみる。
『LetteR』のvol.1は 「宇宙の辺境で踊る方法」
今いる場所が、なんだか窮屈だなあと思ってあたりを見渡すと、
僕らの周りを囲んで視界を遮っていたものが透けだした。
その向こうには不思議な場所があった。
という書き出しに、思わず引き込まれる。
このフリーマガジンは
3名へのインタビュー記事を中心に構成されている。
(他にも、本の紹介や「おてがみ」コーナーもあり、こちらも魅力的)
インタビューのお相手は
≪糞土師≫伊沢さん
≪モダンガール≫淺井さん
≪昆虫食伝道師≫篠原さん
そうそうお目にかかれない方ばかり。
(この3名の職業を見て、抵抗のある人がいるのは重々承知している。
そしてそれは多分東江さんも分かって書かれている。)
こんな生き方は独特すぎて自分にはできないよ!!という声も聞こえてきそう。
でも、そうじゃない 。
私が察するに、この本が言いたいのは
こんな生き方の人もいますよ、
みんなもっと(自分に出来る範囲で)自由に生きませんか?? ということであったり、
≪みかけ≫に囚われていませんか?
もっと自由に世界を(宇宙を)眺めてみませんか?? という事なんじゃないかと思う。
私はこの本に何だか勇気をもらった。
本を創ってイベントも行って、というお二人にも勇気をもらったし、
本の内容にも勇気をもらった。
そして、東江さんとはFacebookのメッセージで好きな音楽を語りあう仲に!
(そこ、好きな本じゃないの?!とは言わないでほしい、、、笑)
1冊の本を通じ、素敵な人たちと関わる事ができた。
フリーマガジン・ZINE・リトルプレスは
個人が全面に出るからこそ、
その「ひと」を知れる。
多分、自分には合わないものもあるけれど、
自分に合う!!と思った時の感動は多分普通の本や雑誌よりも大きい。
苦手にしておくのは勿体ないな、と思い直した。
こんな、人との関わり方もある。
今回は、そんな話でした。